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嘘だろ、としか言いようがない。それはつまり、美郷を自分の手で助け出したいのならば、夜空に協力するしかないということではないか。
「本当の本当に、美郷は異世界の奴に……?」
「十中八九間違いない。裏を返せば、まだ取り戻すことができる可能性はある。この学校に来ているのは“白魔”と呼ばれる魔物だ。さっき見たのはその式神である“式魔”だったから……本体はまだどこかに隠れ潜んでいるんだろう。七不思議のどれかに擬態していると見ている。だから、俺はお前に七不思議に関わるなと言ったんだ、理解したか」
「うう……」
ちなみにゲートの向こうに追放された魔物たちは、基本的に色の名前をつけられて識別される傾向にあるらしい。白魔、というのは本体とその式が白い色で見えることが多いから名づけられた名前なのだ、と夜空は教えてくれた。
「お前は友達に約束したんだろう、自分の手で球磨を助けると。……それならよく考えた方がいい。俺の助力なしで、一人であいつらを倒せると思ってるのか?まあ、お前が約束を反故にして、シッポ巻いて逃げるというなら止めないが」
「ああ、もう!お前なんでそういちいち癪に障る言い方すっかなあ!」
そう言われてしまっては、美郷も後には退けない。自分にも意地があるのだから。
「わかったよ、お前の言う通りにすればいいんだろ!」
「懸命な判断だ。ちなみに、白魔にもお前が騎士候補なのはバレただろうから、俺に協力しなくても積極的に狙われただろうけどな。この学校に通う限り」
「がー!そういうことは早く言えよ、結局逃げられないんじゃねーか!」
それならどっちみち戦うしかないではないか。こうなったらやけっぱちだ、と花火はベンチから立ち上がった。ぐいっとお茶の残りを飲みほして、夜空に問う。
「で、それでお前はあたしに何をしろっつーんだよ!言っておくけど、マジであたしは、さっきレベルのことしかできないんだからな?期待すんなよ!?」
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