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理科室の魔法陣。
家庭科室の毒入り料理。
地獄へ行くエレベーター。
あるはずのない四年十組。
理科室の人殺し儀式。
窓際の赤いメッセージ。
――残りは、十八個。十二個は外ってことで除外された……。
『えっと、あたしが家についた時七時半くらい?だった気がするから……七時過ぎとか、それくらいに家は出たと思う。途中まで一緒に行ったけど、あたしの家、美郷ちゃんの家と学校の間にあるから……』
麻巳子の証言からして、美郷が学校に来たのは七時半頃。とっくの昔に他の生徒は帰っていて、学校の各所が施錠されている時間帯だ。ゆえに、正面玄関もしまっていて、美郷は職員玄関から出入りした可能性が高いだろう。職員室にはまだ、先生たちが仕事でたくさん残っていたはずだからだ。
彼女は七時半頃に学校に到着し、職員用の出入り口から中に入り、職員室で六年二組の教室の鍵を貰った。ちなみに職員室も二階にある。六年二組の教室からは教室三つ分離れた場所だ。
――美郷はそのまま六年二組のタブがついた鍵を借りて教室に入り、忘れ物をゲット。で、すぐに鍵を職員室に返しに行ってる。そこまでは足取りがわかって……あ。
ここで、ようやく花火は思い至った。
「……美郷、六年二組の鍵しか持ってないんだ」
「正解」
夜空が頷いた。
「怪談の多くが、理科室だのなんだのと、鍵がかかった場所を舞台にしているんだよ。七時半だぞ?どの教室も鍵がかかっていたに決まっている。怪談スポットを訪れてみたくても不可能なんだ、職員室で鍵を借りない限りは。でも実際、あいつは真面目に六年二組の鍵しか借りてない。これは先生達が証言してるからまず間違いないだろ。そしてすぐ戻ってきたってことは、六年二組の鍵を借りてから職員室に戻るまでは寄り道もしてない」
「そうなるな。……そうか、それなら鍵開けなくちゃいけない理科室とか音楽室とかは全部除外できるのか……!あ、あと先生達がお仕事でずっといた職員室も除外できる!」
夜空からノートとペンをひったくるようにして奪うと、花火は怪談リストを同じように斜線で消し始めた。これで、相当数がしぼれたはずだ。
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