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Call me…
………。
雨の中、只何も考えず、立ち尽くしている。
傘もささず、大粒の雨を浴びながら、一人声を上げた。
「…まだ、終わってないよ、」
誰もいない深夜の公園で、立ち尽くすその姿は、
まるで不審者としか言いようがなかった。
でも、今の僕にはそのくらいがお似合いだと思う。
だって、変に作り笑いするよりか、全部雨に流してしまえばいいから。
この想いも、温もりも、君の声も、記憶も全部。
"寂しい"と呟いても、もう笑ってくれる人はいない。
君はもう、僕の隣にはいられないと知って、
大いに絶望したか、はたまた喜んだか。
どちらにしろ、もう会えないのだから。
君はもうすぐ、違う人の奥さんになる、
婚約者、だった俺と、離れて。
でも、最後にもう一度だけ、声が聞きたい、
なんて、思っても、電話には出てくれない。
ずっと、鳴りっぱなしの呼び出し音だけが響く。
「…ごめん」
まだ、別れたくない、けど。
君が選んだ道なら、僕は何も言わない。
離れて初めて気づいた、生きる意味を、ここまで、
ずるずる引きずってきた、俺も悪いのだから。
「ありがとう、好きになったのが君で良かった。」
折り返しの電話はもう、二度と来なくてもいい。
どうか、幸せになってね。
またどこかで、笑っている君に会いたい。
そう、ずっと願っています。
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