私はビーチサンダル9

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私はビーチサンダル9

けれど、決まった時間になれば私の為の朝食を母が用意して、父は新聞を読みながらお茶を飲んで、同じテーブルについてそれを食すのだ。 そして、学校へ行く準備をし、時間になれば「行って来ます」と言って私はこの家の玄関を出る。 行って来ます、もうずっと行って来ます、のような気がした。 だって私、ビーチサンダルなんだもん。 私ってば、ビーチサンダルだから、波に漂ってぷかぷかどこかへ彷徨ってるのがお似合いなんだもん。 安心出来て、帰って来てもいい場所なんて、どっこにもないんだもん。 ね。 私は結局、ビーチサンダルなんだ。
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