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「ついさっきは『最後の楽しみにとっておく』って」
「煽るような事言ってくる方が悪い」
景織子の頭を乱暴に掴み、有無を言わさず自分の側に向かせ、龍貴は荒々しく彼女の唇を奪う。
「自分の女とエッチな事したいって思って何が悪い?」
どちらのものか分からない混じり合ったチョコレートの味は、本来は苦いだけ。
なのに何故か、今は甘みさえ感じる。
それはまるで、今の搔き乱された自分の心に呼応しているようだった。
「夜まで待たないでマジで抱くぞ」
強烈な龍貴の宣言に、景織子は一瞬で口を閉ざす。
「プリンまで辿り着きたいなら、少し大人しくしてろ」
すっかり静かになった景織子を見届け、龍貴は車を再び走らせ始めた。
楽しみで仕方がなかった今日の日に、危ういどきどきが加わり、どんどん加速していく。
ばくばくする胸を押さえながら、景織子は盗み見するように隣りを窺う。
「…てっきり、また何かされたかと思って」
未だに自分の勘違いが完全には信じられなかったが、景織子は話を切り出した。
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