2.車中にて

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「した」 「え?」 「だから勘違いじゃない」 「え??」 「なんてな。冗談だ」 「えええ??」 にこりともしない龍貴に、景織子は混乱を極める。 十八番のからかいなのか、それともやはり本当なのかー謝ればいいのか謝らなくていいのか、増々分からなくなってしまう。 「予想に反して酸っぱいのな」 「え?あ、うん」 スイーツ大好き人間としては相当の覚悟をしていたが、初めて食べた時自分も似たような感想を持った。 苦味を遥かに上回る酸味が襲ってくる。 彼もその事を言ってるのだと気付き、景織子は同意する。 「こんなのとても食べ続けられないって思ったけど、でも慣れるとこれがー」 「新感覚の味だな。折角だからもうひとつ味見してみたい」 まさかの催促を受け、景織子は驚いてしまう。 酸味に殆ど掻き消されるが、砂糖は完全にゼロではない それを自ら『食べたい』とは、どういう風の吹き回しだろう。 「もう一回食べさせてみれば、さっきのが勘違いか勘違いじゃないか分かるかもな」 意味深に『さっきの』を強調する龍貴に突き動かされるように、景織子は新たな包みを開ける。 今度は何にも少しも触れる事なく、彼の口の中にチョコレートは難なく収まった。 「悪くない」 笑う龍貴に、景織子は頬を赤らめた。
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