2.車中にて

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『邪魔だ、どけ』 初対面の人間に対するものとは到底思えない第一声と共に降って湧いた彼に、高校生三人組は鋭い視線を一斉に向けた。 『誰だお前?』的な迫力ある睨みも、しかし彼には一ミリも効かない。 『お前らの年がいくつかなんて、そんな事にはまっったく興味もない。説教垂れるつもりも毛頭ない。14でタバコ覚えた俺が、偉そうな事言えた義理じゃないしな。ただ、ここは通行人の邪魔になる。場所は移動しろ』 その場にいた全員が瞬間耳を疑うような台詞を途中さらりと吐き、龍貴は先を続ける。 『ただし自由と責任はセットだ。失うものもあれば、時には痛みも伴う。どれだけ親父に殴られようが、母親に勘当言い渡されようが、停学食らおうが、揺るがない意志を持って吸い続けた俺に遜色ないくらいの覚悟を本当に持ってるならいい。自己責任でいくらでも好きなだけ吸え』 悪い見本のような過去を列挙する彼に、やんちゃ程度のそこらの高校生は到底太刀打ち出来ない。 口を挟める者は誰もいなかった。
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