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「諭しても突き放してもない。邪魔だった、それだけだ」
終わったはずの話題を掘り起こす景織子を、龍貴は迷惑そうに流す。
「はいはい。実は優しい人生の先輩からのさり気ない忠告も、勿論してあげてないよね」
「するわけないだろ」
ぶすっとする龍貴にもう一度笑ってしまいそうになるが、あまりしつこくすると怒りを買うので、この辺でストップしておく。
無関心なようでいて、さり気なく見守っている。
冷たいようでいて、案外温かい。
手厳しいようで、結構優しい。
誰が知らなくても、自分が知っていればいい。
自分だけが知っていたい。
ひとりこっそり微笑み、新たなチョコレートを景織子は口に含んだ。
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