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「次の日に至っては、据え膳食わぬは云々…だ。なのにしなかったのは、つまり結局そういう事だろ」
自分が酷く愚かだった。
彼は、そういう人じゃない。
あえて訊くような事じゃなかった。
「俺の言う事は話半分に聞いておけ。八割は冗談だ」
もの凄く高い割合を提示して、龍貴は笑う。
「でも景織子を好きなのは本当だ。夜まで待てないって思うくらい魅力的だけど、嫌われたくないからそこは頑張って待つ気でいるけどな」
龍貴の揶揄に、景織子ははっとする。
「だからつまり景織子が悪い。俺ばかり責めてくるな」
「…ほんと?」
龍貴の服の裾を、景織子は掴んだ。
「私、この間よりも魅力的に映ってる…?」
普段はとてもこんな質問は出来ない。
だが、ふわふわした夢心地のような甘い時間が自分をかなり大胆にさせる。
化粧もネイルも洋服も一生懸命頑張ってきた。
いつもの何割増かでマシなのは、多分確か。
でも自分で思ってるほどじゃなかったとしたらやっぱり少しーかなり、哀しい。
今一度、その口から真実を聞きたかった。
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