第4話

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第4話

7月25日に金城埠頭で発生した重大事件が原因で、きよひこの家はもう一度新築の家を建て直すことができなくなった。 きよひこの両親は、新築の家を建て直すことを完全にあきらめた。 ヤッキになったきよひこの両親は、未婚のともえを結婚させる…たけひこを住み込みの仕事に転職させる…ことを決めた。 それと並行して、きよひことよしえをリコンさせることにした。 きよひこは、気に入らないことがあれば真っ先によしえと連れ子のみちるとみちよにキツイ暴力をふるう… 今も、きよひこは学校の先生をやめるとわめきちらしている… 問題がより深刻になったので、両親は大急ぎできよひことよしえの離婚届を区役所に出したあと学校の先生をやめることと教員免許返納の手続きを取った。 施工業者の手違いで手狭になった家は、裁判所に破産宣告を申請して、清算することにした。 きよひことともえとたけひこの3人は家に居場所をなくした。 きよひこは、よしえさんと連れ子の娘二人に暴力をふるわれんと言い聞かせたのに、気に入らないことがあれば暴力をふるう… 学校の先生やめられんと繰り返して言うたのに、学校の先生をやめてしまった… 学校の先生をやめたあと、一般企業に転職したらお給料が大きく下がるのよ… 学校の先生の方がお給料が一般企業の5倍よ… 学校の先生以外にできる仕事なんかあるわけない… きよひこの両親は、きよひこが学校の先生をやめたことに激しい不満を抱いていたので、このように思っていたと思う。 ともえの縁談がまとまらないことについては『お相手の条件を少し下げたらどうか。』とか『お見合いを断られた原因はともえにあるのよ。』などと言うた… たけひこが自立できない原因をたけひこが甘ったれていると決めつけていた… きよひこの両親は、3人の子供たちに自立してほしい気持ちで言うたが、否定的な言葉ばかりが目立ったので3人の子供たちの心は大きく傷ついた。 時は流れて… 9月1日のことであった。 きよひこが働いていた小学校は2学期に入った。 きよひこが担任だった4年生の教室にて… クラスの担任が不在になっていたので、急きょ学年主任の先生が担任を代行することになった。 その時のホームルームであった。 「それではホームルームを始めます。まず最初にみなさまもご存知かと思いますが、大貝先生は、7月12日の事件が原因で今日から当分の間休養することになりました。」 この時、児童の一人が『先生、異議があります!!』と怒った口調で言うた。 きよひこが同じクラスの子に暴力をふるって、学校に来れなくなったのにきよひこは休養することはおかしいと言うた。 すると、周囲の子たちが口々にきよひこをののしった。 学年主任の先生は『静かにしてください!!』と怒った口調で言うたあとクラスの子たちに説明した。 「大貝先生が起こした問題については、大貝先生の気持ちが落ち着いてきた頃にみんなの前で謝罪すると言うてました。」 しかし、学年主任の先生の説明はクラスの子たちの耳に届いていなかった。 クラスの子たちが大ブーイングを起こしたのでホームルームは中止になった。 そんな中で、職場放棄をしたきよひこはあたりをブラブラとしていた。 ところ変わって、国道23号線の木曽川大橋の近くにある河川敷の公園にて… きよひこは、ひとりぼっちで河川敷の公園のベンチに座って、コンビニで買ったサントリーホワイトのハイボール缶6本パック3セットをかたわらに置いて、木曽川のせせらぎを聞きながらハイボールをのんでいた。 この時、きよひこは学校の先生のお仕事を選んで大失敗したとつぶやいた。 オレ… なんで学校の先生になったのか… 周りがサラリーマンよりも初任給が高いと言うから先生になっただけや… オレ… なんでよしえと結婚したのか… ほんとうは結婚なんかしたくなかったのに。周りがどうしてもと言うから仕方なくしただけ… きよひこは、のみかけのハイボール缶をごくごくとのみほした。 その後、残りの17本の缶も空けて、イッキのみした。 そして、震える声で悲しい歌を歌った。 その日の夜のことであった。 きよひこは、栄の地下鉄矢場町駅の近くの松坂屋デパートの付近の通りをとぼとぼと歩いていた。 きよひこが悲しい表情で街を歩いていた時、きよひこの高校時代の友人と再開した。 「おい、大貝じゃねえか。」 「手束、手束!!」 久しぶりに旧友と会うことができたきよひこは、話を聞いてほしい気持ちでいっぱいであった。 友人は、きよひこを連れて呉服町通りの居酒屋へ行った。 ところ変わって、居酒屋の奥座敷にて… テーブルの上に、お酒と料理七点がならんでいた。 きよひこは、友人に学校の先生の仕事に対する不平不満やよしえと結婚をしたことに対する不満やよしえの連れ子ふたりが気に入らないので始末したいとぐちぐちぐちぐちと言うた。 友人は、きよひこにこう言うた。 「お前も不運やのぉ…お前のつらい気持ちもよく分かるけども、お前の気持ちがしっかりとしていれば今ごろお前は一般企業の部長だったのにさ…」 「オレ、一般企業に転職したい…」 「ほな、なんでお前は学校の先生になったのだ?」 「周りが先生になれなれなれなれと言うたから仕方なくなっただけ…」 友人は、おつまみのエビチリを一口つまんだあときよひこにこう言うた。 「お前はだまされているんだよ…お前は一般企業よりも初任給がめちゃくちゃ高いと言う周りのくちにのったから、知らないうちにだまされたのだよ。」 「そーだよ…オレはだまされたんだよ。」 「それだったら、どうしてイヤと言わんかった?」 「イヤと言うたら、周囲が口をへのじに曲げてブーブーブーブーと『学校の先生のどこがいかんと言うんや!!』とか『一般企業は待遇が悪い』とか言うて来た!!オレ、その時返す言葉がなかったから仕方なく先生になった!!」 「お前…やっぱりアカンわ…」 友人はこう言うた後、きよひこにもうええからのめと言うて酒をすすめた。 きよひこと友人は、それからしばらくの間栄のカイワイの居酒屋をハシゴして、時間を過ごした。 そして、深夜2時過ぎのことであった。 きよひこと友人は、終夜営業の居酒屋へ行った。 そこでお酒をのみながら身の上話をしていた。 この時、きよひこは友人にカネを貸してと言うた。 それを聞いた友人が、ムッとした表情できよひこに言うた。 「なんや!!今オレになんて言うた!!」 「手束、なんで怒っているのだよぉ。」 「コラ、オドレさっきオレになんて言うたと聞いているのに耳が聞こえていないのか!?」 「えっ、オレ、何を言うたのかなぁ…」 「オドレはオレにカネ貸せと言うた!!」 「待ってくれよぉ…」 「オドレな!!オレに頼めばどーにかなると思っていたら大きな間違いだぞ!!」 「分かっているよぉ…」 「オドレな!!ゼニに困っているのであれば区役所へ行くなりして助け舟を出してもらうか、学校の事務の人に雇用保険の証書の申請をお願いするのかどっちかにせーや!!」 「なんだよぉ、貸してくれないのかよぉ。」 「ふざけんなよクソッタレ野郎!!オドレは高校にいたときに権利と自由ばかり主張してばかりいた!!だから大貝はダメ人間になったのだよボケ!!」 友人からどぎつい言葉を浴びたきよひこは、いじけた表情で店から出ようとした。 友人は『待たんかい!!』と呼び止めた。 友人は、サイフの中から8万円を出して、テーブルの上に置いてからきよひこに言うた。 「大貝!!」 「手束…」 「大貝!!テーブルの上に8万円を置いて行く…それ持って行け!!」 「えっ、いいのかよ…」 「オドレが生活に困ると言うから仕方なく貸すだけや!!」 「だけど…」 「あのな、これはオレのボーナスの一部だぞ!!本来だったら、将来のためにチョチクしようと思っていたゼニや!!それをオドレがかせかせかせかせかせかせ…と言うから仕方なく貸すことにしただけや!!…もうええから8万円をだまって受けとれ…オドレの都合のええときに返しに来い!!」 友人は、きよひこを怒鳴りつけたあと店から出て行った。 きよひこは、友人から借り入れた8万円をズボンのポケットの中に入れた。 きよひこは、9月1日を境にして金銭がらみのもめ事を起こすようになったので、心が大きく壊れた。
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