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「では…だいさん、このまま預かって下さい。お願いします」
「了解。部屋の方を通ってから駅へ向かおう」
「うん。なんかね、にーさまが南から一方通行だとか言ってたよ?」
「部屋の前の道か?」
マップを確認して、馬刺しの店の裏手だと理解し
「ん、わかった。駅まで近い、いい場所だな」
と運転を始める。
「引っ越しまでにも来るだろ?」
「リフォームはお任せだからわからないけど…」
「じゃあ、俺がそっち方面にドライブするわ。慣れた店の方が買い物しやすいなら、そっちで買い物して俺が持って帰っておくっていうのもありだな」
「2時間くらいかかるよ?」
「うん?日帰りの範囲内だろ?…もうここか…」
一方通行の道を入るとアパートかコーポかメゾンか呼び名はわからない2階建て集合住宅が両脇に見える。
「左手の…ここ」
「1階?2階?」
「2階の左端」
「そっか。覚えた」
「だいさんより、にーさまより、私が一番覚えが怪しいなぁ」
「次に来たらもう大丈夫だろ。それより…ここ…この道は夜暗いんじゃないか?」
「駅からすぐだから問題ないよ」
「そうか?今度仕事の帰りにでも見ておくよ。人通りが少な過ぎないかとか」
「大学生のお姉ちゃんでも一人で大丈夫だったんだよ?」
「それは結果。そういう結果が出せるようにリサーチと分析は絶対必要」
「わっ…そう言われると…たじたじ…」
「ぷっ…ははっ、たじたじって…あははっ…たじたじって言って似合うのははづぐらいだな」
「バカにしてる?」
「まさか。可愛いって言ったんだ」
そう言うと、はづの頭にポンと触れ
「触れても…嫌じゃない?」
手はそのままで聞いてみる。
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