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「いらっしゃいませ。こんにちは」 栫井さんはレジでお客さん対応しながらこちらを見てにっこりと笑った。前回と違い先客が2人いると定員オーバーで入っていいのかと一瞬足が止まるような空間だ。二人連れだったようで、彼女達が出て行くと 「百々さん、こんにちは。以前は失礼しました」 と栫井さんが頭を下げる。 「いえ、もう4ヶ月ほど前のこと…大丈夫ですよ。この間榊原くんと食事をしました」 「はい。聞きました」 「1月からお世話になります」 「玲央がすごく喜んでいました。こちらこそ、よろしくお願いいたします。こんにちは、ごゆっくりご覧下さいね」 「こんにちは。ありがとうございます。可愛いお店ですね」 「ありがとうございます、嬉しい。素敵なニットですね。すごく綺麗な編みだ」 「ふふっ、姉の着ていたものなんですけど」 「ゆづの?この間、バッグにパンパンの時か…」 「そう」 「うん、似合ってる」 「引っ越しの時、お姉ちゃんのクローゼットから洋服を移動させると省エネだよね?狙っちゃお」 「ちょっと無理があるんじゃないか?」 「作戦を練るよ。夏物だけ持って来てから、週末ごとに秋物を持ち出す」 「ははっ、それ…もう作戦出来てる」 「今年絶対に着られない物ならいいと思うんだよね。にーさまが絶対に新しいものをお姉ちゃんに買うもの」 「ゆづがいいなら、俺も運ぶのは手伝う。今ここの位置はわかってるのか?」 「あんまり…この前の道を真っ直ぐ行くだけで駅?」 「直進で踏み切り。駅は左手」 「うん」 「車なら踏み切りだけど、歩いては駅の中を通る方が早いかもな…どうですかね?」 「はい、歩いて向こう側へは駅を通るのがいいと思います」 「はづ、オーケー?まあ、こんな暑い時じゃなく引っ越し後に一緒に歩くよ」 「お願いしまーす」
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