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「こんにちは~」 と言う竹原くんの後ろで会釈だけすると 「注文しておく」 竹原くんに言い店へと向かう。 「あれぇ?河北さん、イメチェン?かなり思い切ったカラーリングじゃない?」 竹原くんの声に思わず振り向くと、彼女の髪は…オレンジ?ん?まあいいか…さっきは河北さんがいると認識だけしたけど髪までわからなかったな。さすが、竹原くんだ。 「百々さん、注文すみません」 「かまわないよ」 「いやぁ~びっくりした…あのカラーはないわ」 「プロが見て‘ないわ’というのはどういうこと?赤やオレンジでもお客様のご希望通りにカラーリングするだろ?」 「もちろんですよ。綺麗な赤やオレンジに仕上げます。でもあれは…言い方が悪いけど‘汚ない’です。ブラウン系のカラーリングが中途半端に抜けてオレンジっぽくなるよりも汚ない。でも‘彼とお揃いのカラーで気に入ってる’と本人が言ってたからいいのかな?いやぁ~俺は許せない色だけどなぁ。あの色が許されない職場もあるはずですよ?モヤモヤするなぁ…ヘアスタイルをもっとシャープに変えてたりするといいのかもしれないけど…あのボブのままで信じられないわ。それこそ学生なら‘何でもやれ~’‘弾けろ~’って思いますけど、あれは無理」 「本人が満足ならいいだろ?」 「まあそうなんですけど、すれ違うだけで‘美しくない’って思うレベルです。俺が言うのもあれですけど…品がないです、あれは。俺のこの色でも清潔感とか軽さを意識して作ってますからね」 竹原くんはむしゃくしゃした気持ちを天丼と一緒に飲み込んだようだった。
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