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「久しぶりの水族館、楽しかったぁ」 俺たちが涼しい館内から外に出たのは、まだ1日で一番暑いであろう14時過ぎだった。 「曇っていてもこれだねぇ」 そう言いながら繋いだ手をそっと放したはづが俺を見上げたので 「ん、大丈夫だ。そんなに気を使わなくても、俺ははづなら大丈夫だと思う。ごめんな…俺の不要な前置きのせいだな」 と彼女の頭にポンと手を置いた。 「謝らなくてもいいよ。あれも含めてだいさんだからね」 はづがそう言った時、ブーッブーッっと彼女のバッグの中から聞こえる。俺はエアコンをフルでつけた車内にはづを促し 「出て大丈夫だ」 自分も運転席へと乗り込んだ。 「はいはーい、お姉ちゃん」 電話の主はゆづらしい。 「うーん、それも任せていい?…うん…いいよ…ベッドも買う。ぐうたらベッドっていうのに目をつけてるの…そう、それそれ。さすがお姉ちゃん。だからあとは任せるけど、全面張り替えなんていらないってにーさまに言っておいて…もう見に行かないかも…じゃあね、私、今デート中だからきるよ…だいさん…ううん、来てくれた。じゃあ、ベビちゃんらぶって、私からって、ちゃんとお腹に伝えておいてね」
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