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「私だって‘撫でて’って言われて誰にでも撫でるってことはないよ?」 「そりゃそうだ…うん」 「だいたいデートもしないし」 「うん。俺、はづのこと好きだから…付き合ってくれるか?はづが自分の良さを消さないように、葉っぱを伸ばしていられるように一緒にいたいと思う」 ‘まもなく〇〇交差点、右方向です’というナビの声が車内に響いてから、しばらくはエアコンの音だけが聞こえる。 「だいさんとだったら伸ばしていられるだろうな…私の葉っぱ。あのね、葉っぱの葉月か羽の羽月か、私が生まれてからも届けを出すまでの数日お父さんたちは迷ったらしいの。はづきというのは生まれる前から決まっていたんだけど」 「うん」 「葉っぱを伸ばすイメージか、羽を伸ばすイメージか…結局、根っこからも太陽からも栄養を与えてもらって吸収して無限に伸びる葉っぱにしたって」 「愛情と願いとを感じる」 「うん、気に入ってる。昼間の太陽で伸びて夜の月に見守られる…そういう名前だと私は思っていて、そういう太陽や月の存在になってくれる人が私の運命の人だとずっと思っているの」 ‘目的地付近に…’邪魔な音声はブチッと切り、立体駐車場をゆっくりと進みながら 「俺はその存在になれると思う。今の話を聞いて…なぜだか迷いなく、その自信がある」 自分でも驚くほど強く言いきって空いたスペースに車を入れると、エンジンはそのままではづを見た。 「はづの言った通りだ…何の前置きをしなくたって、不慣れだって、誰にも教えてもらわなくたって…はづと一緒に過ごして電話もして、そうするうちに好きだとか、もっと一緒にいたいって分かるんだな。すごく嬉しい」
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