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キッチン用品に特化した雑貨店に入ると、包丁から、見た目はオモチャにしか見えないタイマーまである。 「そういう合理的なの、好き」 「でしょ?1年も使わない予定なのよ?こんな感じでいいでしょ?」 はづはディープパンをサイズ違いでふたつ選び、鍋とフライパンを兼用するようだ。 「希望すれば東京の事務所に春以降も残れるのか?」 「その辺りはまだ確認できないの。結婚で遠方に行く人が8月末に辞めるのと、10月から産休の人がいるから来てってことなんだけど…3月までって会社が言ったのは4月の異動でシャッフルがあるのか、新入社員のこともあるだろうし不明なんじゃないかな」 「そうか。でもそれって、二人抜けてはづが一人で対応するの?」 「派遣さんを8月から入れてくれるから、その点は大丈夫だと思う」 そう話しながらも、ハロで買ったプレートで足りないものなども含めはづは手早く選んでいく。 「早いな」 「迷ったら安い方に決めればいいから簡単。あっ、これ見て…可愛いけど…ハロの柄が断然可愛いね」 「ああ、分かる気がする。日本人受けする北欧柄をプリントしてあるとか、そういうイメージか?」 「だいさん、すごい。私もそう思う」 「トイレットペーパーの目隠しには十分オシャレだと思うがな」 「あれねぇ、オバチャンの傑作だよね」 「あのトイレットペーパー使えないんじゃないか?」 「お母さんがそう言ってたよ」 だんだん重くなるかごだが、話は軽快で止まらない。
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