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一度車に荷物を運ぶと 「だいさん、今日は何時くらいにこっちを出る予定してるの?」 はづが時計を見ながら聞いてくる。 「決めてない。はづを送ったら帰る。いま何時だ?」 「5時くらい」 「そう。もう少しぶらっとして食事して送る」 「うん、ありがとう」 再び手を繋ぎ店内に入ると 「だいさんは見たいものないの?欲しいものとか要るもの」 「特にないけど、ポールハンガーはあってもいいかなと冬の間中ずっと思ってて夏になった」 またはづがクスクス笑いを始める。 「ちょっとずつ面白いよね、だいさん」 そう言って足を止め俺に向かい合って立った彼女は 「ひとつご提案があります」 と俺を見上げるので、俺は彼女と繋いでいない方の手も繋いだ。 「何なりと」 「明日だいさんの時間があればだけど」 「はづの提案に付き合う時間はいくらでもある」 「わお、すごく彼女気分」 「間違いないだろ?」 「ではその彼氏さん」 「ふっ…はい」 「明日、北欧家具や雑貨を扱う大型店でおデートいかがですか?」 「おデート…喜んで」 「きっとポールハンガーもあるよ?私も見たいものあるし」 「うん」 「場所はだいさんと私の中間地点くらいだと思うんだよね、F市」 「千葉だが、はづの方が遠いんじゃないか?」 「でもそこに店があるから行きたいの」 「わかった。帰りは俺が送るから、行きだけ頑張って来い」 「あははっ…東京まででも行けるのに頑張ってって…はぁい。頑張りますっ」
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