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今度は鼻先をツンとつつくと 「おっと、それは少々マズイ」 と言ったはづがバッグの中から俺が買ってきたあぶらとり紙を出して鼻をぺたぺたと押さえてから額を押さえる。 「ほら、夏のぎとぎとがすっきり。優秀なあぶらとり紙だよね」 はづは使ったあぶらとり紙をくしゃっと丸めてバッグに入れると 「だいさんもやってみる?」 そう言いながら俺の返事を待たずに新しいあぶらとり紙を俺の額に張りつけた。 「お化粧してないからマシだなぁ」 「そういうもん?」 「うん」 「あぶらとり紙、初体験だ」 「感謝して」 「俺の土産だが」 「私がもらったから私のもの」 「ごもっとも」 はづは俺の顔中をぺたぺたしながら話し、同じようにくしゃっと丸めてバッグに入れると 「自称美男美女になりましたぁ」 と無邪気に笑う。チュッ…その鼻先にそっと触れるだけのキスをすると 「…ビックリした…」 はづが鼻を押さえたので、その手の甲にも触れるだけのキスをした。
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