ⅩⅠ

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「ゆづには…数ヶ月前に俺のカッコ悪いところを見られたばかりで…それでもありがとうと言ってくれるの?」 「言いますよ?そう思っているから」 「そっか…」 「それに、いろんな受け止め方はあるでしょうけど、私はあの夜の百々さんをカッコ悪いとは思いません。それどころかとてもカッコ良かった。わざわざスツールから降りて、横を向いたままの彼女に真っ直ぐ向かってあれだけの言葉とともに腰を折り頭を下げた百々さんはカッコ良かったし…私はすべてを理解していないままでも…百々さんの心中を察してほんと泣きそうになりました。ハルさんも言ってたでしょ?」 「ああ」 「しろさんも、本田さんも、久世さんもそうだと思うし、もし成瀬さんがいてもそうだったと思います」 「ゆづのそういうところ、尊敬する。あの日いなかった成瀬まで入れてくれるんだもんな…ありがとう」 「あの日はたまたまいなかったけれど、成瀬さんも含めて皆さん仲間でしょ?」 「皆さんじゃなくてゆづもな」 「ありがとう」 「はづもすぐに仲間入りの予定」 「ふふっ…あの子、全く飲めないんですけど、昔から飲み会の雰囲気が大好きって言うんですよ。ウーロン茶飲んでいてもカルピス飲んでいても、うまくだんだんと盛り上がれる器用な子です」 「可愛いな」 「はい、とても」 と、ガチャっと玄関が開き、ゆづのその声を掻き消すような声がする。 「あー来てる、来てる。ただいま~おはよう~こんにちはが一番ぴったりか…」
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