ⅩⅠ

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「豪華な冷やしうどんだぁ、いただきます」 「うまそうだな。いただきます、ゆづ」 「どうぞ。ぶっかけだけど…つゆを足すならこれ、セルフで」 ゆづの作ってくれた冷やしうどんには、ミョウガ、大葉、かいわれ大根がミックスして乗り、さらに温泉卵とゆで豚も乗っている。 「美味しい。これなら私も作れる」 「この万能薬味は湊のお母さんに教えてもらったんだけど、私、大好きで暑い期間はほぼ毎日これがある」 「そうめんとか?」 「うん。厚揚げを焼いても乗せるし、冷奴にも乗せる」 「わかった。やってみる」 「サバ缶と刻みトマトと大葉を混ぜて乗せても、美味しい冷やしうどんになるよ?」 「お姉ちゃん、お母さんが作らないものも作るんだね」 「もう家を出て何年かな?簡単レシピがどんどん増えていくの」 「夕月の作る物はどれも美味しいぞ。葉月も自分の時間で出来るようになる」 「そうだよ。今週は自炊で頑張ろうとか、今週はお料理お休みだけど朝にちょっと頑張って食べておこうかなとか…自分のペースで1週間単位で栄養を考えるくらいでも大丈夫」 「うん、わかった」 「それで、葉月」 「何、お姉ちゃん?」 「部屋のクロスはどうする?」 「あのままでいい。照明も新しいものをありがとう」 「ちょっと陰気な気配の照明が気になったから」 「うん。で、一番にありがとうって言うはずが忘れてた。あの黄色い冷蔵庫ありがとう。めちゃくちゃ可愛くていい」 「良かった。ちょっとレトロでマットな黄色で…葉月の運気が上がるかなと思って勝手に入れたんだけど、気に入ってくれたなら良かった」 「黄色い冷蔵庫ってあるの?」 想像できなくて思わず聞くと 「赤も水色もありますよ。大きいサイズでは少ないのかもしれないけれど。百々さんもビビッドな冷蔵庫にします?」 とゆづが笑って聞いてくる。 「いや…大は小を兼ねるという感じで使ってるから、小さいのはいいかな?」
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