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「じゃあ、葉月。これで僕たちのリフォームは終わりにする」
「ありがとう。にーさま、お姉ちゃん」
「この鍵はみっつあるんだが」
そう言って湊がポケットからみっつの電子キーがまとまった束を出した。
「ひとつはもちろん葉月が持つだろ?」
「うん」
「あとふたつ…僕はこれを誰に渡せばいい、葉月?ひとつはお母さんたちか?」
「にーさまとお姉ちゃんがひとつ、だいさんがひとつにして。お母さんたちは遠いから、鍵無くしたー熱出たー助けてーって時に役立たない」
「百々に渡していいのか?」
「いいよ。にーさまはダメだと思う?」
「いや。葉月がいいならかまわない」
「だいさんは持っててくれる?」
「ああ。悪用はしないと天に誓う」
「あはははっ…ふふっ…葉月…百々さんって…たまに可笑しいよね?どこって言われると困るけど…ねっ?しろさん」
「そうだな、いい男だ」
「ゆづ、俺は真面目に言っただけだよ?」
「はい、大丈夫…わかっています」
クスクスと笑うゆづの隣で、鍵をみっつに分けた湊がテーブルにそれらを置いた。
「みんな‘せーの’で取るよ?」
「葉月、せーのの意味ある?」
「お姉ちゃん、気合いとか意欲よ。可愛い葉月をいつでも助けてあげるわよっていう気合いを見せて」
「「「あはははっ…」」」
はづのこれには皆で爆笑した。
「はづ、最高っ」
「でしょ?」
そう言って笑った彼女の頭を両手でわしゃわしゃと撫でると
「キャーー、れでーのへあすたいるが…とんでもない彼氏だわ」
と、はづがさらにケラケラと笑った。あー俺は今、幸せだ。
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