第一章

6/7
前へ
/30ページ
次へ
 日中は曇り空で雨は降らなかった。仕事を終えてオフィスビルから出たら見事に雨が降っていた。  昨日に比べてそんなに雨は強くはなくしとしと優しい感じの雨だった。  結局仕事中も少年のことが忘れられず、なかなか業務に集中できなかった。  また傘をさして真っ直ぐ駅の方へ歩き出した。  小さな寂れた公園に近づく度、俺は淡い期待を胸に歩き続けた。次第に近づく例の公園。今日はいるのかいないのか深く考え込みながら、とうとう公園の前に着いた。おそるおそる期待と不安を胸に公園の中を覗いた。 「っ……!」  息をのむ俺。  やはり昨晩と同じように公園の中で少年が空を仰いでいた。降りしきる雨に打たれるところも全く同じだった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加