猫又

3/5
前へ
/5ページ
次へ
そして雨の日。 たしたし、と雨が窓を叩く音。 ぽぽぽぽ、と水たまりにしずくが落ちる音。 とんとん、と傘に雨が当たる音。 ともだちの音が1つ増えた。 にゃ――にゃっ 窓を開けると、身体を濡らしていないミケが座っていた。 隣には黄色い傘。 「おやつだね。待っててね、ミケ」 おせんべいのかけらに残しておいたグミ。今日のプリンのさいごのひと口。 目をつぶって、おいしそうに食べるミケ。 ぼくが手を伸ばすと、ミケは体中でいっぱいスリスリしてくれた。 ミケはとてもふわふわで、お花のにおいがした。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加