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たしたし、と雨が窓を叩く音。
ぽぽぽぽ、と水たまりにしずくが落ちる音。
ともだちが来る合図の音。
ぼくはおやつを持って部屋で待っている。
にゃ―― にゃっ
にゃ―― にゃっ
からからりと窓を開けると、まあるい三毛猫がおすわりしながらぼくを見上げている。
雨の夜だけの、ぼくの友達。
「おやつだね。待っててね、ミケ」
とっておいたおやつの残り。ポッケで溶けたあめ玉にチョコクッキー、ポップコーンのタネ。
身体を濡らしたまま、目をつぶって、ミケは美味しそうに食べる。
食べ終わる頃、ぼくは窓の外に手を伸ばす。
ミケは濡れてない頭で3回スリスリしてくれる。それがバイバイのあいさつ。
ぼくは窓を閉めてカーテンを閉じる。
そしてカーテンの隙間からそっと外を覗き見る。
ミケはすっと2本足で立ち上がり、ぼろぼろのタオルを頭にかぶってどこかに帰っていく。
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