16・早まる期日

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けれども今日は体育だ移動教室だと忙しく、結局DMで質問を送れたのは、すべての授業が終わった後だった。 学校からの帰り道、分かれ道で奈々夏とバイバイしてすぐ、私はカバンからスマホを取り出し、高速で質問文をしたためる。 【転校する日が十八日に変更になったみたいだけど、それっていつから分かってたことなの?】 常にかたわらにスマホを置き、私はソワソワしながら返事を待った。 しかしこの日北宮くんは忙しかったのか、いつも送ってくる、【これから投稿する小説書く!】というDMさえよこさず。 いい加減私も待ちくたびれ、もう寝よう……とあきらめてベッドへ入った時、ようやく彼からの返信が届いた。 【転校日の変更が決まったのは、鏡月高校の文化祭行く前の日】 待ちわびていた彼からのDMで眠気が吹き飛んだ私は、即返事を打つ。 【なら文化祭の時に教えてくれたらよかったのに。 形だけの恋人役してる私としては、もっと早く教えてもらいたかったな】 リスクある役を受け持たせた相手には、他の人が知るよりも早く教えるべきなのでは? 千代岡沙織なんて奴は、ただの創作仲間にすぎないから、変更を知るのはみんなと同じでいいと思った? キツイ汚い言葉が心の中でぐるぐる回る。 転校日の変更を知ってから私の心の中は、ずっとこう。 不満と怒り、少しの失望とたくさんのさびしさが(うず)を巻いている。 【言おうと思ってたんだけど、文化祭でメイ先輩のことや千代岡さんの従兄弟のことがあって、言うのすっかり忘れてた。ごめん】 本当かな、と思った。 だけど謝られてしまったし、これ以上この件で責めたなら、私がしつこい嫌な奴になる。 北宮くんの本当の恋人ならともかく、私は最近親しくなっただけの相手なんだから。 【大事なことなんだから、忘れないで欲しかったな! もしまた変更があったら、なるべく早く教えてね!】 彼を責めたい気持ちを我慢し、譲歩(じょうほ)できる限界まで譲歩した、イイ人ぶった文章を打ち込んで送信ボタンを押す。 【迷惑かけてごめん】
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