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けれども今日は体育だ移動教室だと忙しく、結局DMで質問を送れたのは、すべての授業が終わった後だった。
学校からの帰り道、分かれ道で奈々夏とバイバイしてすぐ、私はカバンからスマホを取り出し、高速で質問文をしたためる。
【転校する日が十八日に変更になったみたいだけど、それっていつから分かってたことなの?】
常にかたわらにスマホを置き、私はソワソワしながら返事を待った。
しかしこの日北宮くんは忙しかったのか、いつも送ってくる、【これから投稿する小説書く!】というDMさえよこさず。
いい加減私も待ちくたびれ、もう寝よう……とあきらめてベッドへ入った時、ようやく彼からの返信が届いた。
【転校日の変更が決まったのは、鏡月高校の文化祭行く前の日】
待ちわびていた彼からのDMで眠気が吹き飛んだ私は、即返事を打つ。
【なら文化祭の時に教えてくれたらよかったのに。
形だけの恋人役してる私としては、もっと早く教えてもらいたかったな】
リスクある役を受け持たせた相手には、他の人が知るよりも早く教えるべきなのでは?
千代岡沙織なんて奴は、ただの創作仲間にすぎないから、変更を知るのはみんなと同じでいいと思った?
キツイ汚い言葉が心の中でぐるぐる回る。
転校日の変更を知ってから私の心の中は、ずっとこう。
不満と怒り、少しの失望とたくさんのさびしさが渦を巻いている。
【言おうと思ってたんだけど、文化祭でメイ先輩のことや千代岡さんの従兄弟のことがあって、言うのすっかり忘れてた。ごめん】
本当かな、と思った。
だけど謝られてしまったし、これ以上この件で責めたなら、私がしつこい嫌な奴になる。
北宮くんの本当の恋人ならともかく、私は最近親しくなっただけの相手なんだから。
【大事なことなんだから、忘れないで欲しかったな!
もしまた変更があったら、なるべく早く教えてね!】
彼を責めたい気持ちを我慢し、譲歩できる限界まで譲歩した、イイ人ぶった文章を打ち込んで送信ボタンを押す。
【迷惑かけてごめん】
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