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北宮くんは文武両道のイケメンなので、高校生になっても今と変わらずモテるだろう。
言い寄ってくる女の子たちの中に、彼の執筆を邪魔しない素敵な子がいるかもしれない。
そうなったら彼は迷わずその子を、本物のちゃんとした恋人にするんじゃないか? と、すごく思うのだ。
彼と理解ある素敵カノジョがイチャついている姿を、創作仲間として側で毎日見せつけられたなら、自分の心がもたないだろうことは簡単に想像できる。
ならさっさと告白しなさいよ! という話になるのだが、勝算がまったく見えない。
勝算ゼロどころか告白して玉砕したら、「オレのことそういう目で見ない千代岡さんだから、よかったのに……」と、友達の地位すら失うマイナスになる気がするし。
では鏡月高校でなく桜西が丘高校を受験――したとしても、問題解決にはならない。
何しろ私は学校の長期休みの時しかあわなかった、正二郎お兄ちゃんのことずっと好きだった女だ。
私の恋心は今回もたぶん、二人をへだてる距離なんて問題なく稼働し続ける。
私の人生において二回目の恋は、完全に手詰まり状態におちいっていて、ため息しかでない。
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