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第一章:運命の人は悪魔?
「美晴さん、こ、これは……っ!」
向かい側に座るマドレーヌさんはカードめくってすぐに、大きな目をより大きく開く。
彼女のただならぬ様子に、私の動悸は加速して、ごくりっと生唾を飲み込んだ。
「正直にはっきりと、辛口でいいので教えてください! なんでも受け入れる姿勢でいますから」
身構える私をよそに、マドレーヌさんはからっとした笑顔を向けてきた。
「ビックウェーブが来てまーす。生涯一の大恋愛♡」
「えっ!? えぇぇええええええええ―――!」
私の嬉しい悲鳴が、占いの館――点眼通に響き渡る。
でもここには、私と同じような迷える子羊しかいない。
このカーテンの向こうの女性は、『私はどんなこと言われるのかなぁ、ドキドキ……』なんて温かい気持ちでいてくれていると思われる。
「それでマドレーヌさん、お相手は、どんな方なんでしょうか!」
食い気味で机をたたくと、彼女は途端に気まずそうに視線を手もとに向けた。
「それがね、美晴さん」
「え?」
マドレーヌさんは、私の目の前にすっと一枚のカードを置く。
『悪魔―devil―』
言葉を失う私に、彼女は苦笑いでカードをシャッフルする。
「エスコート上手で、遊びにも慣れていてとても魅力的な男性よ。ただこういう男性って女性がらみで大きな障害はつきものなのよね、そこをなんとか……」
(はーい、美晴終了のお知らせです)
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