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「なんか面白そう、勉強会終わったら一緒に行こ」
いつの間にか両手にジュースを持った前田さんが俺の隣に座っていた。オカルトじみた不思議な書類を、少し胸を躍らせながら見ているようだった。
それにしても、俺のすぐ隣に……
「行くってどこに……?」
「その病院に決まってるでしょ。早く勉強終わらせて電車乗って行こ」
「いや、だけど、勝手に行ったらまずいんじゃ……」
「行きたいんじゃないの? オカルト、興味あるんじゃないの?」
「それはそうだけど、俺、もっと……」
「気づいたんだったら動かないと オカルトのままでいいの?」
一瞬、前田さんが昔の自分のように見えた。あの頃の俺はどこに行ったのだろう?
色んなことに気づき、すぐに行動していた俺は……
セミの音がなる中、3時間ほどで勉強会は終わった。
「で、どうする? 行く?」
俺の返事は決まっていた。
電車に揺られ、2つ市を跨いだ先。
壁や天井に蔦が巻きついた、奇妙な病院へと足を踏み入れた。
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