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病院に着いた頃には、既に日が落ち始めていた。橙色の光が、入口や窓から闇の中を照らしている。
「政己くんそっちの廊下見てきて、私こっち見に行くから」
それにしても積極的すぎる。いつも穏やかで、オカルトの話をしている時でもこんなにウキウキしながら動いている姿は見たことがなかった。
やっぱいいなぁ、ギャップ萌え。
しばらくあたりを懐中電灯で照らしながら回ったが、不可解なものは何一つなかった。
「前田さ〜ん、やっぱりなにもないy/」
「政己くん! 来てっ!」
前田さんからは聞いたことの無い大きな声が向かい側の廊下で聞こえた。
長い廊下を進むと灯りを照らした前田さんと1つの扉があった。
「開けるね」
扉の奥には前も見えないほどの暗闇と、うっすらとだが不自然に下へと伸びる階段があった。
「これ、地下室じゃない?」
確かに病院に地下室は聞いたことがない。
なぜかは分からないが自然と扉の奥へと、1段目へと足をかけ下へとくだっていた。
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