Ep.01『本の中だけでよかった』

7/9
前へ
/14ページ
次へ
「行くんだね、政己くん」 その一言でやっと我に返った。 「あっ、いや、なんか勝手に……」 「いいよ、それでこそオカルト好き」 前田さんも階段に足をかけ、一緒に下へとくだって行った。 しばらくすると再び不自然な扉が目に飛び込んできた。 「どうする? 開ける?」 すぐ隣から前田さんの声が聞こえた。今までのビクついていた俺とは少し違っていた。 「ここまで来たら、見てみたいじゃん?」 俺はドアノブに手をかけ、思い切り扉をこじ開けた。 中は煙のようなもので覆われていた。煙より少し粒が大きいような……何かは分からないが白いものが宙に舞っているようだった。 すると突然、隣にいた前田さんが口を抑えて悶えながら倒れ込んだ。 「これ……まさか……!?」 なにが起こっているのかさっぱりわからなかった。なぜなら俺自身には何も異常がなかったからだ。 「前田さん!」 駆け寄ろうとしたその時 ドンッ!! 後頭部から鈍痛が響き渡り、俺もその場に倒れ込んだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加