Sp.01『兄弟の日常』

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Sp.01『兄弟の日常』

 銭湯にて 四畳半に備え付けられていた風呂が壊れた。修理にはしばらく時間がかかるらしく、今日は久しぶりに銭湯へ来た。政己と来るのは初めてである。 「だぁーっ、でっけぇぇ!」 政己も喜んでいるようだった。 「あんまりはしゃぎすぎるなよ」 「ねぇ兄ちゃん、これなぁに?」 壁に描かれた富士山を指さしていた。 「あぁ、富士山だよ。日本で1番大きい山なんだ。日本の象徴だよ」 「ふぅ〜ん、なんでここに書かれてあるの?」 「それは……」 あれ? そういえば、銭湯の壁に富士山があることは知っているが、なぜあるのかは考えたことがなかった。 「ごめん、なんでだろう」 「ねぇ〜、なんでだろうね〜」 政己は好奇心旺盛な故か、人一倍様々なことに気づく。そして俺が気付かされている。さすが俺の弟だ。 風呂上がり、政己が指さした方向には牛乳瓶が並んでいた。 「あれ飲みたいっ!!」 二人で腰に手を当てて牛乳をぐいっと飲み干す。そんな日常が今は大好きになった。
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