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夏の読書会
政己が来てからもう3年、棚に並ぶ本の数も伊達では無くなってきた。
どうやら政己はオカルト系が好きらしく、棚はオカルト一色となっていた。確かに、会ったばかりの頃にケルベロスがなんちゃらと言っていたような気もする。
ある夏の日、政己の本棚からある一冊の本を見つけた。それはちょうど俺が大学で研究している物質と似たような物が書かれていた。
「政己〜、これ借りていい?」
「いいよ〜、でもそれ結構ムズいけど」
「いいよ、多分読めば分かるから」
俺が甘かった。書かれてある事物は同じとはいえ、これは学問では無くオカルトだった。
陰謀論だの宇宙物質だの読めば読むほど分かりゃしない。
「政己〜、助けて〜」
「だから言ったじゃぁん」
そこから2人だけの読書会が始まった。
政己から教えてもらい、なんとか一人で読めるようになっていたがもう日は落ち始めていた。
途中で寝落ちしてしまった政己に毛布をかけ、俺はオムライスを作り始めた。
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