Ep.01『本の中だけでよかった』

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Ep.01『本の中だけでよかった』

ガコンっ バタンっ 「いてっ!!」 俺は子供の頃から片目が無かった。 そのせいなのか、よく壁にぶつかったり、何も無いところで転んでその場に倒れ込んだりしていた。 別にそれで不便な思いをしたかって言われたらそうじゃないけど、多少は怖かった記憶がある。 でもそんな時、兄ちゃんが肩を支えて助けてくれた。自分より倍くらい大きな手で支えながらこう言ってた。 「大丈夫、俺が政己のこと支えるから。右側は俺に任せろ」って 兄ちゃんが言ってたことは今でも忘れないし、この光景が夢に出てくるくらいにははっきりと記憶に残っている。 ……ん?……夢……? ……!!これ夢なの!? ガバッ! 俺は思い切りその場から飛び起きた。 時刻は午前8時半、場所は自宅の四畳半、ちなみに今日は平日である……。 ……今日学校あるじゃん!! 今まで聞こえてこなかった目覚ましの音がやかましいくらいに聞こえてきた。 時間が過ぎるのはいつも早い、俺ももう高校生になっていた。
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