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「ジュース取ってくるね」
バタンっ
前田さんの部屋まで入ったのにいまだに鼓動の速さが元に戻らない。
ショートボブの髪が軽くゆれた。そんな些細な動きさえも、俺には美しく見えた。
「あっ勉強会」
そうだ。目的を忘れかけていたがこれはあくまで勉強会。カバンの中から教科書を取り出そうとした時、とある書類が入っていることに気づいた。
そこにはdotという10年程前に発見された物質のことが書かれていた。物質と言ってもほとんど情報がなく、半分オカルトのようなものだった。
「これ、兄ちゃんのやつか……?」
昔兄ちゃんは大学で物質研究の一環でdotを調べていた。かなり前だが俺にdotのことを詳しく聞いてきた日もあったくらいには。
にしてはオカルトみが強い内容だった。
新兵器開発 dotブローカー 殺人ウイルス 陰謀論……
どれにも黒い線で重要な部分が隠されていたが、とある廃病院の名前だけはっきりと書かれていた。
「そこ、行ってみない?」
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