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 千里が目を開けると、忠雄が顔を覗き込んでいた。 「あ……」  忠雄は千里と目が合った瞬間に微笑んだ。 「おはよう」  起き上がろうとしたが、体に力が入らず首を動かすことしか出来かったので、顔を横に向けると、子供を見ながら笑う義母の姿が見えた。その隣で義父も微笑んでいる。 「ああ……、お義父さんもお義母さんもこちらに着いたのね」 「うん。着いてからずっと孫の顔を見てるよ」  微笑んだ忠雄の顔を見ながら、千里も微笑む。 「ねえ、アタシ、アナタに聞きたいことがあるの」  忠雄にそう言うと、優しく頷いた。 「なんだい?千里」 「嬉しい?」  その言葉に、忠雄は少しビックリしているようだった。 「さっきもこの子が生まれた時に言ったじゃないか……。忘れちゃったのか?勿論……、嬉しいよ。嬉しいに決まってるじゃないか」 「そうよね……」  忠雄のその喜びが、千里の耳から入り伝染していく。  ああ、嬉しい。  本当に嬉しい。  や っ と 、  こ の 瞬 間 が 来 て 。
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