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「えーと……『今度、美味しいイタリアンでも食べに行こうよ』……っと。はい、送信!」  マッチングアプリで知り合ったミキちゃんにメールを送った直後、曜日が日曜日に切り替わった。  早起きする必要もないし、このまま気兼ねなく夜更しできるが、連絡するにはもう遅い。打ち止めだ。  三時間握りしめていた携帯電話を机へ解放し、今日の戦果を振り返る。  ミキちゃんは返事待ちだが、デートの約束を取り付けた女の子は、ジェシカちゃん、紅ちゃんを含めて三人だ。  恋人の美智子におやすみとメールを送り天に腕を伸ばす。世間的には浮気と呼ばれる行為だが、大丈夫。バレなきゃいいのさ。  かれこれ一ヶ月敷きっぱなしの布団へ向かうため、椅子から腰を浮かせたとき、手汗にまみれた携帯電話がブルブルと震動した。  着信か? ディスプレイを確認すると、弟の拓海の名前が表示されていた。前に話したのは……寒い季節だったから半年くらい前か?
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