隠し子

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「ふざけんな、約束破りやがって。お姉ちゃんの嘘つき!」 「先に破ったのはお前だろう。パタパタと駆けつけてよ。まんまと罠にはまるとは面白いわ」  私は笑いながら、瞬間移動の魔術をかけてくれた誰かさんに感謝している。  もしあのまま部屋に居たら、畳が思いっきりバッキバキに壊れていただろう。  あーあ、かわいそう。  とても痛いだろうねえ。  地面にひびが入っていると言うことは、この子の頭に私の力が思いっきりかかっているのだ。  想像するとゾクゾクする。   「杏子!」  婚約者、そして母さんがやってきた。  親戚の男たちも援護をしようとかけつける。 「ストップ。あとは僕たちがやるから」  力を緩めて男の子を見る。  男の子は抵抗する気力がないのか、ぴくぴくと痙攣している。  よほど、私の怪力が効いたのだろう。  それからは男の子は決壊を貼られていき、大人しくなった。  最後に男の子はお姉ちゃんと私にすがる眼をしてきたが、私はさっさと無視をする。  男の子は結局、鬼と名乗る二人の男女に引き取られていった。  ちゃんと成仏するといいな。    それから私は母さんと一緒の部屋で寝ることにした。  大事な話があるという。  もしかしてあの写真の男の子と母親のことと尋ねると母さんはうんと頷いた。 「もう、あなたも理解できる年ごろだし、さっきのも」 「写真の男の子ってことなんだろう?」 「……気づいたの?」 「なんとなくね。さっきからミニカーに固執していたし、写真の子と似ていたし……」  忙しい夜にごめんねと母は謝って、昔あった出来事を語りだした。
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