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隠し子 後日談
一方その頃、地獄に向かった響と舞は……。
「どうだ、久しぶりに姉と対面した感想は」
「……僕のこと全くわからないみたいだった。仕方ないよね。一緒にいたのはずっと昔のことだから」
男の子こと、かつての杏子の弟は落ち込んでいる。
ずっと姉を迎えに行こうとしていたが、怪力に勝てなかったと。
「お姉ちゃんばかりずるい。僕だってもっと生きたかった。お母さんの巻き添えになりたくなかったのに」
「気持ちはわかるよ。確かに不平等だよね」
「しかし、それは母親に言うべきだろう。君のお姉さんは母親に捨てられたんだ。どっちみち平等に痛み分けはできている。だから、ずるくない」
ずばっと指摘した響の言葉が心に刺さったのか弟は黙った。
弟が本来責めるべき相手はもういない。
どこか、遠いところに行ったようだ。
「さて、これからちゃんと償いするんだぞ。理不尽かもしれないが、修行すればなんとかなるから」
河原についた響と舞は、担当者に引継ぎ資料を渡して軽く挨拶を交わす。
弟を見送った後、二人は現世に足を運んだ。
「話はうまいこと進みましたかね?」
「そうなっていることを願っているけどな」
「正直、ショックを受けているかもしれませんね。自分の出生、そして弟がいたことを知ったら」
舞は年が大きく離れた姉のことを心配した。
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