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「呪いねえ……初めて見ましたよ。効果ってやつを」
「まあな。昔はよく見かけたものだが、やはりすごいものだな」
罪人の発言がよくわからないため、なんとか言語学に詳しい鬼や地獄の住人に手伝ってもらう。
一応罪人の言い分を聞くべきというルールはある。
閻魔様が公正な判断をするためだ。
「これであの人たちの心が晴れるといいですね」
「そうだな。いろいろと苦労したから」
罪人を見下ろしてじっと観察する。
モンスターである罪人は汚い言葉を吐いているのか、聞いていると心がざわざわする。
舞が罪人に対して誹謗中傷の証拠を一部だけ見せてみた。
罪人は興奮してぎゃーぎゃーとわめきだす。
私は悪くない、周りが悪いと言っているかのようだ。
「さすがに消失だよな。これは」
「まあ、償いすらできないですね。こういう姿ですし、罵詈雑言がひどいし」
人間の世界だと極刑に属する処罰、それは消失。
転生することはないし、二度と生きることはない。
現実の世界と同様にもう思い出されることはない。
二人の鬼たちは閻魔様の判断に期待しながら、哀れな罪人と別れた。
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