隠し子

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隠し子

 人が死ぬと必ずあらゆる出来事が起こる。  死んでからわかる事情があるのだ。  ノロイ回収人の響と舞はこれまでに何度も修羅場を見た。  今回の案件は緊急を要するものらしい。  突然閻魔様から呼び出された二人は説明を受けていた。 「子供の回収……ですか?」 「ああ、すまないのう。これまで何度も挑戦したのだが、うまくいかなくてのう」 「そういうことなら、あの普段はぐうたらしているのにいざという時はかっこよく仕事をこなす死神に頼めばいいのでは?」 と響が嫌味をさらりと吐き出した。  まじめなタイプの響はあのサボリが大好きだけど、大きな仕事をこなす死神のシギを嫌っている。  あーあ、いつものバチバチ心が出てきちゃってと舞はやれやれと嘆息した。 「ああ、本当ならば死神の手を借りたいところなのだが、彼らは天使たちの不始末に駆り出されてしまった。君たちならなんとかなるだろうと信じている」  そういう事情があるのかと響と舞は納得して現場に向かった。 「と、閻魔様は信頼を寄せていますけどうまくいきますかね。今まで失敗していたんでしょう?」 「まあな。もしできなくても仕方ないさ。あの馬鹿をぎゃふんと言わせられるならば、頑張ってやるさ」 と響はバリバリと対抗心を燃やす。  はあ、面倒な先輩だなあと思いながら舞は歩き続ける。  シギとは仲が悪い分、同じく真面目なルカとは関係が良好。  複雑な人間関係を見守る後輩としては面倒な方たちだなあと舞は思った。
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