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2.
自分と目が会った瞬間気を失ってしまった"何か"を、少年は小屋へと連れて帰った。
また僕は、怖がらせてしまったのか。
少年は声をかけてしまったことに後悔していた。
だが、スヤスヤと規則正しい寝息を立てて寝ている可愛い"男の子"の姿を見ると、和んでしまった。
今夜だけだから……
少年は隣に寝転ぶとそのまま眠った。
◆◇◆◇◆
「赤い目……バケモノよ!」
「近寄るな、悪魔が移る!」
なんで……どうして。
「触らないで!」
僕が何をしたって言うの?
「お前は要らない子なんだ」
「あぁ、あんたなんて産まなきゃ良かった」
「兄さんなんて大っ嫌いだ!」
ごめんなさい、父さん…母さん…アデル…。
体を揺すられている感覚がして、目を覚ました。
大きな緑の瞳がこちらを見ている。
「お兄さん、起きたんだね」
この目は……確か昨日の夜…。
「っ!」
僕は驚いて後ろに下がった。
「だめ、僕を見ないで……」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
「…僕はバケモノの子なんだ。要らない子なんだ。だから、見てはダメ……」
「バケモノなんかじゃないよ。僕を助けてくれた。あのままだったら寒くて死んじゃってたかもしれない。それに一緒に寝てくれた、そうでしょう?」
あのまま寝てしまったのか。
日が昇る前には崖に行くつもりだったのに、この子より後に起きてしまうなんて……。
「僕の名前はフィン。助けてくれてありがとう。お兄さんの名前は?」
僕の、名前……。
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