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「この中に勇者と魔王がいます!」
預言者ランランはそう言って周りを見渡す。そこには、同じような格好をした村人たちがザワザワとしていた。
「……は?」
異世界から召喚された江戸川一は呆気に取られた。
「え、なんでこの中に勇者と魔王が一緒にいるの!? ていうかランラン、預言で誰かわからないのか!?」
「私がわかるのは勇者と魔王の場所だけです。だからこそ、貴方をお呼びしたのです! という訳で勇者と魔王を探してください、名探偵江戸川一さん! ちなみに特徴もわかりません!」
「むちゃ言うなー!」
ハジメは叫ぶ。村人は50人近くいる。事件の容疑者だってもっと絞れているし、真犯人だってもっと証拠残している。この人数かつノーヒントで探すのはさすがにキツい。
「まぁまぁ、まずは皆から話を聞きましょう」
「……わかったよ」
ランランに宥められて、渋々ハジメは村人達の方を見る。
「この中に勇者の心当たりある者はいるか?」
ハジメの言葉に半数近くが手を上げた。
「……えっと、それじゃ、それが誰か指をさしてくれ」
手を上げた全員、自分を指す。
「なんでだよ!」
「とりあえず、話を聞きましょうか〜」
動揺するハジメに対し、ランランはマイペースに村人を1人呼び寄せる。
「貴方は自分が勇者だと思うのですか?」
「ああ、間違いねぇ」
そう自信満々に言うのはどう見てもただの村人である。
「おらはサトー! この間、デッケェかぼちゃ収穫して畑の勇者と呼ばれたんだ!」
「ああ、それはすごいですね!」
「…………」
目を輝かせるランランとは違い、ハジメは頭を抱えた。
「すごいですよ、ハジメさん! さっそく有力な勇者候補の方が登場しました!」
「勇者って農家なのかよ!?」
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