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幼稚園の年長の頃には僕らはすっかり仲良くなっていた。 「昨日はランドセルを受け取りに行ったんです。 私の好きなエンジ色にしたんですよ」 ハナエの休み明け、昨日は何をしてたのか聞いた時だったと思う。 「えっ。しょとうぶはしていの茶色のカバンだろ?」 「公立の小学校は指定カバンは無いので、好きな色のランドセルを選べるんですよ?」 イチカは不思議そうに言った。 それを聞いて衝撃を受けた僕はハナエのもとに走ったのをよく覚えてる。 「うちには珀院なんて通わせるお金ありませんよ」 「お金ならおとうさまに出してもらえばいいじゃないかっ」 「なんで一使用人の子供の学費を旦那様が負担するんです? とにかくうちは珀院なんて無理ですからねっ」 ハナエはろくに相手にしてくれなかった。
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