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アキの指先がズボンのベルトにかけられて、簡単に脱がされてしまう。
「もう、シミができているぞ」
ボクサーパンツの中身は興奮に頭をもたげて、蜜をこぼし、小さなシミを作っていた。恥ずかしさに足を閉じようとするが、足の間にはアキがいて閉じることはできない。アキは意地悪くパンツの上から手を這わせて、強弱をつけて握りこむ。
「……んんっ」
唇をかみしめて快感から逃れようと身をよじる。さらにシミが広がって布がまとわりついて気持ちが悪い。一度離された胸の突起を再び唇で愛撫されて、「ああっ」と甲高い声を上げてしまった。
とっさに両手で口を押さえたが、「その声が聞きたいな」とパンツから手を離して両手を顔の横に押さえつけられてしまった。
「んっ……アキ、スーツ汚れる」
アキはスーツを着込んだままだ。僕だけがパンツと靴下だけの姿にされている。互いの股間をこすりつけられればアキのスーツにはシミがついてしまう。
「脱いで欲しいのか?」
言われて、戸惑う。
アキが脱いだら本当に抱かれてしまう。ここまでついてきて怖気づいてしまった。
興奮した身体に流されていた。甘い香りが、αを求めて流されてしまっていた。
「ユキ。言ってごらん。俺が、欲しいのだろう?」
さらに甘い香りが放たれて、ゾクゾクと身体の中から何かが溢れ出してくるのを感じた。ゴクリと喉が鳴った。
「……あ、アキ……脱いで」
声は甘く震えている。このαが欲しいと。甘い、甘いフェロモンが溢れ出すのを感じた。
「いい子だ」
アキは手を離すと起き上がってスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを引き抜いて、ワイシャツも脱いだ。逞しく鍛え上げられた胸筋と瘤のような腹筋が現れて引き締まったウエストへと繋がっている。ズボンのベルトも緩めると、「そんなにお気に召したのか?」と笑った。
「あ、いえ……」
見つめていたのを指摘されて首を横に向けた。そこにアキが口づけをする。番になるための場所は敏感で、身体が跳ねた。
「いいんだよ。ユキ。俺はお前のものだ。結婚式を挙げただろう?」
遊びのような、戯れのような2人だけの結婚式。さっきのが結婚式なら、今は初夜だ。
「さぁ、俺の花嫁。俺を楽しませてくれ」
アキはいいながら再び口づける。口づけながら身体を熱い手が這う。声は口づけからあふれて零れてしまう。
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