ホワイトムスクの午前三時

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シャンパンの飲み過ぎだろう…。 私は気持ち良さそうに眠る上杉さんを見て微笑んだ。 車の中に上杉さんのバッグを忘れている事に気付き、取りに行く。 そしてリビングに戻ると、上杉さんはソファに起きていた。 「あれ、私、寝ちゃってましたか…」 そう言うとまた横になる。 私はそれを見て笑ってしまった。 一人ダイニングの椅子に座るとポケットからタバコを出し、咥えるとマッチで火をつけた。 そしてポケットに手を入れ、パーティ会場の喫煙室でもらった名刺をテーブルの上に置いた。 「週刊ファーストスクープ 記者 緑川充子」 名刺にはそう書いてあった。 私はネクタイを緩め、上着を脱ぐ。 そしてその上着をリビングのハンガーに掛けた。冷蔵庫からアイスコーヒーを出して、椅子に座る。 向かいに椅子に置いた上杉さんのトートバッグには今日、パーティでもらった景品の目録が見えていた。 私はそれを出してテーブルの上に並べた。 ホテルの宿泊券、ハワイ旅行、ヨーロッパ旅行、それと束子…。
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