NEWグッド・ジョブ媚薬5部 ドライアイスプロジェクト

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亮は祐希に手を握られて違和感を覚えた。 「亮、その地下水を砂漠の 緑化に利用できませんか?」 ビジネスより自然保護に興味が あるケンが亮に聞いた。 「もちろん利用できます。バイオ燃料の原料の 緑藻の絞りカスを利用するつもりです」 亮が簡単に答えるとケンに 亮のアイディアを話した。 「そうか、すごいでも砂漠では保水が 難しいのでは?」 「ケン、ここの砂は細微砂でサラサラして掘り下げるのは 容易ではありません  そこで水に溶かした吸水ポリマーを砂漠に撒くんです」 「吸水ポリマー撒くって、それをやって効果が あるのはせいぜい1m位地下じゃ無いと」 「そうです、温度が20℃で固まる 吸水ポリマーを作ればもっと深い地下で固まり  そこに保水能力を持った層が出来ます。 その上に有機成分を混ぜて植物を  植えて緑化をしていきます」 「そんな事・・・」 「できます。可能です!しかも 廃プラスチックで吸水ポリマーが作れます」 ケンは亮が言った事を頭の中で シュミレーションして声を上げた。 「亮、確かキンブリ―財団が似たようなものを 作った話を聞いています」 「そうか、キンブリ―財団か・・・」 亮はキンブリー財団にコンタクトを取るか 自分たちで開発をするか悩んでいた。 「ありがとうケン、特許を調べてみます」 亮が考え込むとジェニファーから電話がかかってきた。 「亮、大変。メキシコのエリック が行方不明になったわ」 「えっ!」 それを聞いた亮の鼓動が早くなりめまいがした。 「ジェニファー、それで今どのように?」 「それが、エリックを張っていた 捜査官と連絡が取れなくなって 捜査に入ったメキシコの警察も 爆殺されて連絡が遅くなったわ」 「それで、捜査官は?」 「全員死亡、エリックたちはもう アメリカに戻ったのかも」 「わかりました、アメリカへの入国の情報は?」 「取れていない」 「わかりました」 「亮、気をつけて私もすぐに向かうわ」 ジェニファーは亮が言ったデジャヴが 本当になりそうで不安になった。 ~~~~~~~ 「マシュー、イーサン」 亮は二人をベランダに呼んだ。 「監視のFBIの職員が全員殺されて エリックたちの行方が 分からなくなったそうです」 「そうか、逃げられたか」 イーサンがため息をつくと 亮がマシューに聞いた。 「それで、マシュー。スチュアート 上院議員の飛行機の方は?」 「探知機でも探知犬でも爆発物は発見されなかった。  飛行機は明日の朝まで徹夜で警備している」 マシューが首をすくめると 「わかりました」 亮はマシューに疑われていると思っていた。 「亮、美喜とマギーのお蔭でボビーと ハリーの居場所が分かった」 電話の向こうでロビンのうれしそうな声が聞こえた。 それはジェニファーの報告に気落ちしていた亮の 元気が取り戻せる一報だった。 「本当ですか?それで今何処に?」 「ワシントンにいる。すでに奴の携帯を ロックオンしているからマギーが追跡中だ」 「マギーですか?」 「ああ、ハリーの居場所がわかったらすぐに飛んで行った」 「わかりました、ありがとうロビン。 これから追跡はFBIに移行してください」 「ま、待て!それは無理だ。 システムの移行は出来ないぞ」 「じゃあ、せめて明日の朝まで監視して FBIとマギーに情報を送ってください」 「そう言うと思っていたよ。美喜さんがこっちに来て  僕の手伝いをしてくれている」 「お願いします。ロビン」 亮は自分が何も言わずしてみんなが 動いている事を頼もしく思った。 「ジェニファー、ボビーとハリーの居場所が わかりました。マギーと連絡を取って  奴らを捕まえてください」 「了解、さすがだね。亮」 ジェニファーの明るい声が聞こえた。 「マシュー、イーサン。 爆弾の犯人が見つかりました」 「本当か!亮」 「はい、ワシントンで見つかったそうです」 「わかった、飛行機をもう一度調べて貰おう」 「お願いします。マギーがしっかりと奴らに張り付きます」 亮はしばらく三人で話をすると肩を抱き合った。 ~~~~~ 満月の光が当たる砂漠のサボテンの 間の地面が持ち上がり 土と埃にまみれたメキシコ人の男が顔を出した。 男は周りを見渡すとそこから体を出し自分の出てきた穴に 顔を突っ込んで叫んだ。 「大丈夫です」 するとエリックが小さな穴から体を出してきた。 「ふう、国境越えのトンネルとは驚いたな」 大きく息を吸って煙草を口にくわえ火を点けた。 「こっちです」 男はしばらく歩きシートを外すと黒のSUVが現れた。 「後部座席にハリーさんが送ってきた 物が置いてあります」 「うん、ご苦労だった」 メキシコ人から鍵を受け取ったエリックは金を渡した。 「ありがとうございます。お気をつけて」 「仕事が終わったらしばらくアカプルコで厄介になるよ」 エリックはエンジンをかけると車を北東に向かって走らせた。 ~~~~~ 亮たちが席に戻るとキャシーが亮の耳元で囁いた。 「亮、どうしたの?」 「ボビーとハリーが見つかりました」 亮ですら計り知れない出来事がこの数時間に起きていた。 「そう、よかったわね。これで安心して砂漠へいけるわ」 「それがまだエリックの居場所が確認されていません、 それどころか何時間か前にここから210マイル 離れたサン・ルイス・リオ・コロラドで 姿を消しているんです」 亮が答えるとマギーが恐怖で寒気が走った。 「それって、エリックがこの近くに?」 「はい、いる可能性が有ります」 「亮。さっきキャシーに話を聞いたんだけど  バイオ燃料も同じ場所で作るんですか?」 祐希が亮に聞いた。 「ええ、同じ水源を使うのでボトリング工場に 隣接させます。火を使わないので大気汚染も無く 我々が開発した太陽光発電パネルで起こした電気で バイオ燃料を作ります。緑藻は日照時間が長く 平均気温が高いアリゾナが適しているんです」
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