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1.私を見つけないで
待って!どういう事?!
本当に私?!
人違いじゃなくて?
ある日の昼下り、交通量のそれほど多くない車道、それに並行した歩道を、私は走っている。
いや、逃げている。
言いようのない恐怖を感じながら、ひたすら全速力で…。
いや、勘違いだよね?
私じゃないよね?
たまたま私の近くに居る誰か…。
しかし周りを見回してみても、いつもなら疎らながらも人が歩いているこの歩道に、今日は誰もいない。
さっきから必死に走っている私だけだ。
もう一度 背後を振り返る。
黒キャップ、又は黒ニット帽、黒のサングラス、黒ブルゾンに、黒パンツ…
とにかく全身黒づくめの、いかにもって感じの男達が、5人?…いや、もっと?
表情など そこしか見えない口元を歪め、追いかけて来る。
違うよね?
さっきから何度も自分の頭の中で行う確認作業。
だって私、こんな人達に追われる覚えなんて1ミリもない。
それでも、自分の中に自覚のない落ち度はなかったか、必死に走りながらも考えてみる。
でも、やはり、何もない!
じゃ、どうして?!
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