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十三章 時節到来編 9
非人界では、非人のエサの調達のほかに、人界に行ったきり戻ってこない先生たちを、非人界に連れ戻すという任務がある。
これまでは、別の従業員が専従していたのだが、その従業員が退職してしまったため、最近は、私がその任務をメインとして兼任している。
はっきり言って、けっこうきつい。
先生たちは、無邪気でかわいいけど、いや、無邪気だからなのか、けっこうな数が人界に行ったきり戻ってこないのだ。
朋佳さんが今、私の守護霊をしながら、新たな人材をスカウトするため奔走してくれている。
朋佳さんは、生きていた頃も、バリバリのキャリアウーマンだったそうだが、幽霊になった今でも、本当に働き者だなあと思う。
私は、ルーキーが来るのを楽しみに、多忙な業務をなんとかさばいている。
どんなルーキーなのかは、分からない。
性別も、年齢も、性格も、経歴も。
ただ一つだけ、分かっている。
きっと朋佳さんに選ばれたその人は、私と同じで、選ばれたその瞬間に、地獄から救い出されるのだ。
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