幼少期 3

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幼少期 3

 私は脱水症状になり、救急車で病院に運ばれた。  なぜ悦子は、水を飲ませてくれなかったのか?   理由は 「トイレに行きたがるから。トイレの世話をするのが面倒くさい」 というもの。  悦子らしい、自分本位な言い分だ。  しかも、脱水症状を起こした私に対して、悦子は 「そんなに逼迫してたなら、そう言えばいいのに。そうしたら、もちろん水を与えていたわよ。泣かれたってこっちは分かんないんだからさ。ちゃんと言葉で言ってもらわないと」 とまで言ってのけた。  私の様態が回復すると、悦子は、救急車を呼ぶなどという面倒を起こしたことについて、言語、表情、態度、すべてを使って私を責めた。 「分かってるんだろうな? 二度とこんな面倒を起こすな」 というわけだ。  この頃、私は、まだ三歳にもなっていなかった。
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