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幼少期 4
私は、幼心にも、自分の味方と敵の区別が、はっきりついていた。
赤子の頃、私は、哲也や悦子に抱かれると、別に暴力を受けていなくても嫌がり、祖母に助けを求めて大声で泣いたそうだ。
祖母というのは、同居していた父方の祖母だ。
私の祖母は、見栄っ張りだった。私が学校にあがると、学校のテストで平均点を取ることは決して許さず(普通はダメ、トップでいるのが当たり前、満点ならなお良し)、ほかの子がなにかで入賞し、町の広報誌などで取り上げられると、入賞しなかった私をなじった。周囲には、自分のことを良い祖母であると吹聴するようにと、遠回りな言い方で促すこともたびたびあった。
加えて、近所の知り合いとお茶をしながら、他人の悪口を言い合うのが大好きな、俗っぽい人間だった。
だが、私が祖母を嫌いになることはなかった。
祖母は、前述のような振舞いはあるものの、いっぽうで、私を人間扱いしてくれる人だったからだ。
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